今回は力のつりあいについて学びましょう。力のつりあいやモーメントのつりあいを理解することで、問題の未知数を導くことができます。しっかりと理解していきましょう!
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運動の第3法則(作用・反作用の法則)
力のつりあいについて説明する前に、運動の第3法則について復習しておきましょう。別名で作用・反作用の法則と呼ばれるこの法則は、下図のように物体Aが他の物体Bにある力を作用させると、物体Aは物体Bから必ず大きさが等しく向きが反対方向の力の作用を受けるという内容でした。ちなみに、この反対の力のことを『反力』と言います。

力のつりあい
下図のような円柱部材を両端A,Bから同じ力で引っ張ることを考える。このように部材の外から作用する力を『外力』といい、部材内部に生じる力を『内力』といいます。ここで円柱の内力を考えるため、円柱を仮想断面Sで2つに分けてそれぞれ右側を部材A、左側を部材Bとします。

それぞれの部材A,Bは互いに力を作用させているので運動の第3法則より、どちらの部材にも反力が作用しています。そして今回は両端A,Bから同じ力で引っ張っているため、作用している内力は互いに打ち消され、部材は静止していることが分かります。このような状態を『力がつりあっている』といいます。Aに作用している力の大きさを\(F_A\)、Bに作用している力の大きさを\(F_B\)とし、関係を式で表すと以下の様になり、このような式を『力のつりあい式』といいます。
\[F_A-F_B=0 (F_A=F_B=F)\]

例題
下図のような壁に部材が固定されている状態を考えます。この図の状態で力がつりあっているとして、力のつりあい式を立ててみましょう。立て方は簡単で、同じ方向に作用している力を1つにまとめて、反対方向に作用している力と等号(=)で結ぶだけです。この図の場合なら、以下のような力のつりあい式を立てることができます。これは上下に力が作用している場合でも同じ方法で立てることができます。因みに反力はRと表記される場合が多いです。
\[R=F_1+F_2\]

モーメントのつりあい
力のモーメントにも力のつりあい式があり、『モーメントのつりあい式』といいます。ただし、必ず回転中心を明記しなければなりません。下図のように力が作用している状態を考えてみましょう。

下図のように同じ力\(\vec{F}\)であっても、A中心として見ると反時計回りに力が作用しているように見え、B中心として見れば、時計回りに力が作用しているように見えるはずです。同じ力であっても、見方によって力が作用する向きが変わってしまうため、気を付ける必要があります。基本的には『~点回りのモーメントのつりあい式』と表記することが多いです。

練習問題
問題
下図のように、長さ\(l\)の部材にそれぞれ\(F_A,F_B,F_C\)の力が作用している。この状態でモーメントがつりあっているとする時、\(F_B\)を求めなさい。ただし、\(F_A=200[N],F_C=300[N],a=300[mm],b=500[mm]\)\(l=800[mm]\)であるとする。

解答と解説
O点回りのモーメントのつりあい式を立てると
\[aF_A+bF_B-lF_C=0\]
ここに値を代入し、\(F_B\)を求めると
\[0.3×200+0.5×F_B-0.8×300=0\]
\[F_B=\frac{0.8×300-0.3×200}{0.5}=\frac{180}{0.5}=360[N]\]
よって\(F_B=360[N]\)だと分かりました。
まとめ
今回は力のつりあいについて解説しました。力のつりあい式やモーメントのつりあい式は、今後問題の未知数などを求めるのに非常に役に立ちます。一度で理解できなかったときは、しっかりと復習しておきましょう。次回は「垂直応力とせん断応力」について解説していきます。ここまで見ていただき、ありがとうございました!

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